NEW JEANS

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"暗黙のうちに強要されたアイドル成功の公式を破りたかった"[ミン・ヒジン インタビュー1]

2022.08.10 The JoongAng インタビュー

https://www.joongang.co.kr/amparticle/25093281

 

先月22日、ニュージーンズ(NewJeans)がデビューした。このグループを紹介する時、たった1フレーズで足りる。"ミン・ヒジンのガールズグループ"。"天才クリエイティブ・ディレクター"として名を馳せたミン・ヒジンのポートフォリオには、なんと少女時代・EXO・f(x)・Red VelvetそしてSHINeeが入っている。SMエンターテイメント時代を離れてHYBEに籍を移し、レーベル アドア(ADOR・All Doors One Room)を作り、New Jeansは彼女の最初の成果物だ。

 

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反応は予想を飛び越えた。KPOPのデビューの公式を破り、MVから公開する戦略として3つのタイトル曲を続けて発表し、一気に一番気になるKPOPガールズグループとして浮かび上がった。

デビューアルバム"New  Jeans"は正式な音源販売以前に実施された予約販売で、3日間だけで44万枚を記録、新人ガールズグループの記録を更新した。音源公開日である5日にすぐ主要音源サイトのチャートに入りアルバムの4曲すべて上位圏(10日現在Spotify韓国TOP50、1・2・3・6位、melonTOP100、3・13・51位)に留まっている。

 

これを現実にしたミン・ヒジン代表に会い、製作過程と戦略について聞いた。対面インタビューは先月New Jeansのデビュー前に進行し、デビュー後は書面等を通じて追加の質疑をした。KPOPアイドルの成功公式と戦略を作るのに貢献した主人公がこれを捨てることにも躊躇しない点、相当に深刻な水準のワーカホリックという点が印象的だった。次は一問一答。
 
Q.公開された感想から。予想した反応そのままか。もしやそれ以上。

A.結果的には予想通りの反応だった。しかしまたこうやって短答式で表現すると誤解が生まれるかもしれない。

 

Q.どんな誤解か。

A.とても自信満々だという誤解。自信があるのは事実だが、だからといって悩みがないわけではないから。決定をひとつするごとに慎重を期して結果的に予想通りだと言っても、決して過程が楽だったわけではない。

 

Q.一度にMVを見せる、デビューの公式を破る戦略だ。

A.公式が嫌いなタイプだ。特に私が思う面白い文化とは、公式がないものにより近い。ティザーの本来の役割は好奇心の誘発なのに、ある瞬間から慣性のように感じたため必要性を感じられなくなった。特にすでに多くの関心の中でデビューするためティザーは必要ないと考えた。どうせ好奇心で最初に公開するコンテンツへのバズ(buzz)量が一番大きいと予想した。私の最大の関心事は、その好奇心を意味のある効果に転換したいということだった。私に好意的でもそうでなくても、気になって一度は見るだろうから。その一度の好奇心を、私たちの音楽を見て聞く機会に引っぱり出すための戦略的選択だった。私が披露しようとした新しいコンセプトは、音楽だったからだ。

 

Q.もう少し具体的に期待する効果を説明するとしたら。

A.私が選んだ曲は既存のKPOPアイドルの音楽スタイルではないので、もっとそうしなければいけなかった。良い曲だとしても不慣れなら学習の時間が必要だ。そして音楽の長所を極大化して、何度も聞かせるためには誘因要素としてMVが必要で。メンバーたちをしっかり隠して公開したのでむしろ事前情報無しに公開してこそメンバーの識別のためにも、MVを何度も見るしかないと思った。わざとメンバーの名前を初日に公開しなかった。名前が分からないためメンバーたちに対する検索効果が発生すると思った。そして名前が公開された2つ目のMVを見ながら1つ目のMVを同時に探してみるものと期待した。わざとスタイリングを全く違うようにしたため、顔の認識に混線が起きて比べてみたいと思うので。また、それによって自発的なバズが形成されるかもしれないし。ファンダムが皆無な状態で出発した新人チームの関心維持のためには短期間の内にファンダム確保がキーであると考え、こんな学習戦略が必要だった。この機会を上手く活用したらファンダムは早く形成されるかもしれないし。また長い間待ってくれたファンを心配させたり苦しませたくなかった。ファンダム確保を願いながら、相応するファンサービスをしないのは矛盾だ。塩梅を見たり理由なく焦らすことが嫌いだ。

 

※アイドルのデビュー公式を全て外したミン・ヒジンの戦略はぴったり合った。グループ名・メンバープロフィール公開、ティザー、MVに続く既存のプロモーション方式を破り、グループ名と一緒に公開された"Attention"のMVは 公開9時間で70万回再生を記録し、9日現在1200万に向かって走っている。MV4編を立て続けに公開し、別途ファンとの交流アプリケーション(Phoning)を運用して初期ファンダムを結集している。予想を覆す登場の仕方に大衆はメンバー探しに没入し、HYBEの株価はデビュー初日だけで6%以上上がった。

コンセプト、ビジュアルに特化・限定された概念ではない

 

Q."音楽がコンセプト"とはどういう意味か。

A.私の作業を待ってくれた方々は、大部分コンセプトを期待する人たちだ。しかしコンセプトをビジュアルに特化・限定された概念で考える方が多い。今は媒体がものすごく多様化されて視覚化技法が溢れる時代だ。裏を返せば、何を出しても新しく感じることが難しいという言葉とも解釈できる。こうした同時代性を無視してビジュアライジング(visualizing)にだけこだわるのは愚かだ。良い絵を絵一枚として見るときと、音楽や空間など体験をして見るときでは体感できる鑑賞の幅は明らかに変わる。皆が期待する"新しいコンセプト"の具現のためにはビジュアル的要素は基本、プラスアルファが必要だった。だから魅力的な音楽が必須だった。そして私は音楽家出身ではないため、音楽に対する期待値が無い市場の固定観念が興味深い反転要素になることができた。逆に考えると、クリエイティブディレクターなので音楽に対する感が違うかもしれないということだ。音楽を選ぶ感覚は作る能力とは無関係だから。私が考える"良いコンセプト"とは衣装、音楽、MV、写真など一つの要素で成り立つ概念ではない。一体なぜ好きなのか分からない、要素を数えきれないほど複雑な魅力を感じさせる何かに出会わせて初めて良いコンセプトだ。

 

Q.プロデューサーとして仕事することはどうか。

A.私が独自レーベルを運営しようとした理由も完全に音楽のためだった。魅力的な音楽は人の心をたちまち揺り動かし短時間のうちに鑑賞を増幅させる。しかし、普通は視覚的具現領域と音楽を区分し、私もまた十何年をそんな環境で仕事してきたのでより渇きが大きかった。完璧に私が求める音楽として構成されたCDを作ったみたかった。個人的欲求もあったが、明らかに使命感もあった。説明が複雑な、そうでなければいけなかったそれなりの当為があった。だから何より音楽への外部干渉を受けない環境が必要だったので独自レーベルをスタートした。私が作曲家出身ではないのでむしろADORの音楽は一つのスタイルで規定するのが難しい。なので(レーベル)独立権の保障が唯一の交渉の条件だった。

 

Q.音楽がKPOPらしくない。

A.  その間(かん)"ヒットしようとするならこうしなければ"という、ある程度公式化された既存のKPOPスタイルを暗黙的に強要されてきた感覚だった。当然視されてきたその公式を破りたい一種の反抗心があった。俗に言う"大衆性"の概念もまた反復学習された結果ではないか、と思った。保証された成功のために全てが似たスタイルを志向することが業界従事者としてももどかしいため、他のやり方を提案したかった。既存のスタイルが個人的に追求するスタイルに合わなかったこともあって。私はどこでも面白さを追求する人間だ。固定観念を脱して多様なスペクトラムの可能性を見せたかった。成功に法則はない。しかし"私の言うことは合っている"と主張しようとすると公式から脱したスタイルも大衆にアピールできるという点を証明しなければいけなかった。

 

Q.これに対する会社内部の反応はどうだったか。

A.メンバー構成を確定した直後、メンバーたちを家に招待し私が求めるCDの方向性と企画内容について聴音・ブリーフィングする時間を設けた。メンバーたちや構成員たち皆、好反応だった。生憎HYBE内では"地味だ"、や"大衆性のないスタイル"という意見がかなりあった。既存の"KPOPアイドル文法でないためヒットが難しい"と断言する意見も聞いて。気に留めなかった。私がしようとする目標がはっきりしていて、選択した曲に自信があったから。そしてそんな話を聞くほど、より早く披露したい思いだけだった。自信のためだけではない。自信だけで結果を保証することはできない。純粋な意味で私の挑戦に対する実際の反応が本当に気になった。良い結果として話せるようになって非現実的な感じもあり、じんとくる。

 

製作者とグループメンバー、ビジネスだが感情・和が重要

 

Q.チームを作るとき一番重要視した点があるとすれば。

A.全体的な調和。考え、考慮する視点がかなり多い。一番重要と考えたのは強引ではない調和を作り出すこと。私たちも一緒に仕事するのが疲れる同僚と毎日会ったら仕事するのが困らないか。見た目の調和も重要だが、互いの性格がある程度合って、チームの雰囲気を壊さない条件が必要だった。利己的な性向はチームの雰囲気と皆の意欲を阻害する。楽しくて明るいエネルギーの健康なチームを志向したため、これに符合するメンバーで構成した。私たちは互いのビジョン、意志に対する信頼があった。契約期間というものが存在するビジネス的関係だといえるが、ロボットではなく人間なので互いの感情がかなり重要ということを十分に知っている。だからメンバー間の和以外でも実際に彼女たちをリードする製作者との和もまた重要だ。

 

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Q.クリエイティブディレクターである時とレーベル代表である時の差は。

A.差が大きくならざるをえない。前の職場でも他人の固定観念よりも(クリエイティブディレクターの)業務領域がはるかに広かった。だが代表の役割は本当に異なる領域の仕事だ。代表という肩書き自体には興味がない。一面、代表取締役という呼称はむしろ私の実際の役割をぼやかした。私はプロデュース総括が目的の人間だ。音楽、振り付け等クリエイティブディレクター時代には制約を余儀なくされた分野の決定権を得るために、つまり総括プロデュースをするためには、代表取締役職が必須だった。New Jeansのローンチは私にとってプロデューサーデビュープロジェクトだったため、総括プロデューサーとしての力量発揮に全力を尽くした。全ての製作過程に関わり神経を尖らさざるをえなかった。同時に代表理事としての責務も怠ることができないため、バランスを掴んでいる最中だ。

 

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